10/01/01 : 少しだけ背景色変えました
私の今年の抱負というか目標は「おもちを食べる」にしました。
そして今日の昼過ぎにそれを達成したので、残りの364日は消化試合となりました。
あけましておめでとうございますこんばんは村川です。
2010年もよろしくお願いします。
2011年に地上アナログ放送は終了します、というアナウンスがされて久しいですが、本当に終了するかどうかは実際にその時になってみないとわからないらしいですよ。
2012年には人類は滅亡するらしいですね、古代マヤ人によると。でもなぜ見ず知らずのマヤ人の言うことを信用しないとならないのかはよくわかりませんね。

私が子供のころ父親には会社の方々から沢山年賀状が届いていたと思うのですが、実際に自分が社会人になってみたところ別に送りあったりしない現実を知ったわけで、なんだろう、営業職かそうでないかの違いなのでしょうか。
それとも私が知らないだけで本当は皆送りあってんの? それはそれで別にいいんだけど若干寂しいぞ。

「しかしあれですね、こういうときに自分から送ってみようという発想がないところが駄目ですね、村川君は。だからモテないんですよ」
「モテないとか関係なくね? というか、そんないかにもモテないってほどモテないわけじゃ、いや、実際モテはしないけども、その、アレだよ。アレだからな」

母親にお年玉あげたところ即刻無駄遣いしたみたいです。
私も無駄遣いしたい。屋形船借り切って中でひとり人生ゲームとかしてみたいぞ。
2009年のログ.
10/01/11 : ジェノサイドノート
 「そのノートに苗字を書かれると死ぬよ」
 「マジで? デスノートみたいじゃん。って、あれ、苗字だけで?」
 「下の名前も、顔も知らなくても有効だよ」
 「おー、高性能っていうかなんというか」
 「ただし、その苗字の人間はすべて死ぬよ」
 「む。影響大きすぎだろそれは」
 「大量虐殺。ジェノサイドノートだよ」
 「迷惑なノートだなぁ」
 「あげるよ」
 「いや、貰ってもなぁ」
 「君が要らないなら他の誰かにあげるよ」
 「それもなんかやだなぁ。僕の苗字鈴木だしなぁ。巻き添えで死にそうだなぁ」
 「貰ったからって代償があるわけではないよ。使いたくなければ使わなければいいよ」
 「そうか。うん、じゃあ、まあ、貰っておこうかな」
 「あげるよ」
 「うむ」

 さて、貰ったはいいもののどうしよう。
 このまま使わずに、どこかに隠しておこうか。
 それとも、燃やしてしまおうか。
 あるいは、うまいこと使いこなして、新世界の神となってやろうか。
 とりあえずさしあたってするべきことも見つからないので、テレビをつけてみる。
 臨時ニュースがやっていた。
 白昼の凶行。ライフルと鎌を持った男が保育園に乱入した立て篭もったらしい。
 沢山の小さな子供が人質に取られている。
 犯人の顔に見覚えがあった。中学生のころクラスメートだった鈴木君だ。
 どうしよう。鈴木だ。鈴木君だ。どうしよう。
 このノートに、鈴木、とかけば、子供たちは助かるかもしれない。
 でもその時僕は死ぬ。
 世界中の鈴木さんも死ぬ。
 人質の中にも鈴木君がいるかもしれない。きっとひとりくらいいるだろう。
 だめだ、ノートは使えない。犠牲が大きすぎる。
 でも、だけど、それでも。

 「おやおや、人間が困っているよ」
 「あ、あんたまだいたのか」
 「何をそんなに困っているのか僕は疑問に思うよ」
 「この鈴木君を殺したいけど他の鈴木君達には死んでほしくないし僕も死にたくない」
 「なるほどそういうことなんだねわかったよ」
 「何が分った」
 「君がなんで困っているのかが分ったんだよ。それだけだよ」
 「何かいい方法はないか」
 「君が最良だと思った方法をとればいいよ。僕は誰の味方でもないよ」
 「薄情だな。人の命がかかってんだぞ。もしかして死神とかか?」
 「ちがうよ。ただの『人間以外』だよ」
 「僕が死なずに、他の鈴木さんたちも死なせずに、あの鈴木君だけを殺す方法はないか?」
 「拳銃で撃ったりナイフで刺したりすれば良いと思うよ」
 「無理だ僕には。拳銃は持ってないし、ナイフを持ってあそこに行くだけの時間もないし、そんな度胸もないし」
 「だったらことの成行きを見守るしかないよ」
 「そうだけど、そうなんだけど、でも」
 「あの鈴木君の苗字を変えてしまえばいいと思うよ」
 「そんなことは不可能だ」

 ん、苗字を変える、か。
 僕が誰か、鈴木さん以外の家、例えば、田中家の婿養子に入れば僕は田中になる。
 そうすれば僕自身は安全圏で鈴木君を殺すことができる。
 でも、沢山の鈴木さんたちが死ぬことには変わりがない。
 それに、奇跡的に今この瞬間に結婚相手を見つけたとしても、婚姻届の受理には時間がかかるだろう。
 無理だ、この方向性ではなにも解決できない。
 現実的に考えろ。
 分るだろう?
 現実的に考えれば。
 僕が、誰も、救えないことくらい。

 「とうとう人間が諦めたように見えるよ」
 「正直詰まれた気分だ。成す術なし。成り行きを見守るしかなさそうだ」
 「それは誰も救わず誰も殺さないということだよ」
 「そうだ、もともと人間はこんなとき、誰も救わず誰も殺さない」
 「それならば人間とはつまらないよ」
 「そうだ、人間はつまらない。『人間以外』ならこんなときどうするん」
 「おや、テレビを観てごらんよ。動きがあったみたいだよ」

 鈴木君はひとりの、おそらく保育士さんだろうと思われる、女性を鎌を持った左腕で抱きかかえ、首筋にその鋭利な先端を突き付けていた。
 その女性に、その女性の顔に、見覚えが、あった。

 「あれ、は、高橋、さん……?」

 中学生のころ。
 目立たない少年だった僕は、いじめっ子でもいじめられっ子でもなく、スポーツ万能でも勉強が得意でもなく、文化祭や合唱コンクールなどの際には協調性は欠かないものの積極性には欠けていて、かといって物事に取り組むやる気のなさを問題視されるほど消極的だったわけでもなく、髪も染めずタバコも吸わず、生徒会には入らずボランティア活動には関わらず、試験勉強はダラダラと非効率に続けた結果最終的には一夜漬けで、赤点を取らずかといって成績上位にもならず通知表は3がほとんどで、趣味は読書とゲームとインターネットで、特技は平たい石を投げて水面を跳ねさせることで、好き嫌いは特にないけど強いて言うならカボチャの煮つけがあまり得意ではなくてかといって食卓に出されれば特に残したりはしなかったこの僕が、唯一注目された事件があった。
 14歳だったある日、僕の机の中に小さな箱が入っていた。薄緑色の包み紙にピンクのリボンでラッピングされた、小さな箱だった。
 僕はそれを手にとって何だろうとしばらく眺めていたが、その日がバレンタインデーだということに思い至ると、あわてて机の奥に押し込み、他人目に触れないように隠したのだった。
 休み時間に入るや否や、僕はその小包を上着の内側に抱え込むように隠し、男子トイレの個室に駆け込んだ。誰にも知られたくなかった。音をたてないように慎重に包装を解き、その中身が確かにチョコレートであることを確認した。誰からだろう。手紙の類は入っていなかった。チョコレートは市販のもので未開封。包み紙の裏なんかも改めてみたが、特に誰からのメッセージが書かれていたわけでもなかった。
 それでもチョコレートを貰ったという事実に興奮し、胸を高鳴らせていたのだが、次第にこれは誰か馬鹿な男子の悪戯なのではないだろうかという疑念が心の中を浮かび上がってきた。考えれば考えるほど、そんな気がしてきたが、しかしその一方で、悪戯ならむしろ女子を装った手紙の類を入れるのではないかという気もしていた。
 結局何一つ確証を得ることはできず、ただ誰かからチョコレートを貰ったというフワフワとした事実のみを胸に僕はトイレを出てチャイムが鳴ったので小走りで教室に戻った。
 ひとりの女子と目があった。彼女は高橋さんという。下の名前は憶えていない。僕と同様、なんの特筆事項もない、ただの女子だ。
 もしかしたら、このチョコレートをくれたのは、高橋さんかもしれない。
 なんとなく、僕はそう思った。
 普段クラスメイトが高橋さんや僕に注目しないのと同様に、それまで、僕も高橋さんのことを考えたことは今まで殆どなかった。いや、一度もなかったといってもいいかもしれない。
 彼女は、どうやら勉強はまあまあ出来る方だったようだけれど、授業で積極的に手を挙げて発言するようなタイプでもなかったし、ダントツで成績がよかったわけでもない。「なんとなく」な成績上位陣というだけのこと。
 人付き合いが悪くて孤立していたわけでもないので、他の没個性な女子の中に埋もれてしまって、その没個性ささえも際だつことはなかった。まったくもって、僕と同程度の普通さを持った女子だったのだ。
 あらためて彼女の顔をよく見てみる。見れば見るほど普通だ。水のように、空気のように、ニュートラルというのか、非常に無難な顔立ちをしていた。
 不美人というわけではない。顔の各パーツの形や配置に何ら違和感はないのだけれど、なんというか、表情に乏しい。それは決して、笑ったり不機嫌になったりしない、という意味ではない。
 要するに、「地味」なのだ。
 その一言につきる。
 なるほど、考えてみれば、市販のチョコレートを贈るという好意の表現としては非常に地味な行いは、彼女の無色な特色にあっているような気がする。ここで手の込んだ手作りチョコレートに、豪華絢爛なラッピング、ハートマークなどのちりばめられた丸文字のラブレターが添付されていたら、それはもう高橋さんであるはずがない。
 地味だからこそ高橋さんなのだ。普通だからこそ高橋さんなのだ。面白味がないからこそ高橋さんなのだ。
 しかしながら、その彼女が僕に好意をよせているとなれば、話は別で、とたんに彼女のその没個性さがかえって愛おしくなってきたのだ。非常に慎み深く、慈愛に満ちた表情にさえ思えてくる。
 良いじゃないか、地味でも、普通でも、没個性でも。社会にでたときに本当に役に立つのは、きっとステルス迷彩のごとく周囲に埋没できるその能力だ。出る杭は打たれるとも言うし。目立ったところで、良いことなんてあまりない。いや、正確には、目立てば目立つほど人から好かれる可能性はあがるが、同時に人から嫌われる可能性も増えるということ。沢山の人に嫌われれば、それだけ足を引っ張られることも多くなるだろう。落ち目になれば好いてくれていた人もきっと立ち去るに違いない。
 そう考えると、彼女のこのなんの面白味もないパーソナリティが非常にすぐれたもののように感じられるようになってきた。
 気がつくと、僕は高橋さんのことを見つめていた。
 きっと、その瞬間から僕は恋に落ちていたのだろう。
 初恋、だったかもしれない。

 コロリ、と。
 ぼーっとしていたのだろう。僕の上着のすそから、雑に包装されたチョコレートが転がり落ちてしまった。
 慌てて拾おうとするが、目ざとい男子に見つかってしまいはやし立てられる。未だかつてないほどに注目を浴びた僕は、中途半端なニヤニヤ笑いを浮かべて、シラを切り通した。
 「すげー、モテモテじゃん」「誰からもらったんだよ」「うわ、包装紙シワシワじゃん」「バレンタインシーズンじゃなくてもコンビニで普通に売ってるよなこのチョコ」「っていうかあいつなんて名前だっけ、鈴木? 初めて知った」「ずるいぞ、俺にも一口くれよ」「まじうぜえ、ヘラヘラすんな、死ねよ」「あんなやつクラスにいたっけ」「俺あいつと話したことないや」「そもそもバレンタインってのはチョコレート会社が」「毒入りとかだったら面白いのに。爆笑なのに」
 騒ぎの仲、チラリと僕は高橋さんの方を伺う。周りの女子が皆、こちらに注目する仲、高橋さんはうつむいて自習をしていた。まるで、何事もなかったかのように。あたかも、周囲の喧噪などとは無関係のように。でも、この場合はむしろこちらに注目するのが自然なこと。その無関心さこそが、このチョコレートの送り主が高橋さんであるという状況証拠に他ならなかった。
 これが、僕の中学校生活において、唯一クラスメイトの注目を集めた出来事だ。

 それから、僕は毎日高橋さんにあうのが楽しくて仕方なくなった。会うといっても、別に今まで通りの関係性で、会話なんて一切なかったけれど。
 でも、僕は彼女と一緒の教室にいられるだけで、妙に胸が高鳴るのだった。この瞬間、もしかしたら高橋さんも僕のことを考えているのかもしれない、と思っただけで、もう授業になんて集中が出来るわけもなかったのだ。
 ごくまれに、高橋さんと目が合うことがあって、その度に、ああやっぱり彼女が僕を好きなのは間違いのないところだと確信を強めるのであった。
 だけど、高橋さんから僕に話しかけてくることは決してなかった。もちろん、僕の方から話しかけたことも、一度だってないのだけれど。僕は気長に待つことにした。彼女が僕に告白してくるのを。
 当時は認められなかったことだが、今ならわかる。
 結局僕には自信がなかったのだろう。
 自信があるなら、僕の方から告白してしまうべきだったのではないだろうか。相思相愛なことを確信してるのだったら、さっさとそうすれば良かったのではないだろうか。要するに、その瞬間瞬間では確信に至るまでに舞い上がることができても、その瞬間が過ぎ去ってしまえば、すぐに自信がなくなってしまうのだ。なんて揮発性の高い自意識だろうか。
 告白して、実は勘違いでした、彼女は僕のことなんか好きでも何でもありません、むしろチラチラこちらを見ていてなんか気持ちの悪い人くらいに思っていました、なんてことになったら、おそらく登校拒否にでもなっていたのではないだろうか。そして、その自信のなさゆえに、僕にはその可能性が捨てきれなかったのではないだろうか。
 だけど、4月になって僕たちが3年生に上がったとき、僕と高橋さんが同じクラスになったときは、運命めいたものを感じたりもした。
 そしてついに、僕と高橋さんが言葉を交わす時が訪れた。
 卒業を間近に控えた、修学旅行の前日。すべての授業が終わった後のホームルームでのこと。
 その日、日直だった僕は、旅行の際の注意事項などが記されたプリントを配っていた。先頭の席の生徒に、その列の人数分渡して、後ろに回してもらうという、凡人にしか到底不可能と言わざるを得ない、きわめて重要な役割である。
 ところが、先生が間違えたのだろうか、1枚だけプリントが足りなくなってしまったのだ。教室の前から見て左側の列から順に配っていたため、足りなくなったのは右端の列の一番後ろの生徒だった。
 それが高橋さんだった。
 高橋さんの前に座っていた男子生徒が、「1枚足りないんだけど」と言った。
 先生が「ごめん、じゃあ鈴木君、隣のクラスに行って、余ってたらもらってきてくれる」と言った。
 僕は「あ、はい」と今年一番に普通な返答をして教室を出る。果たして隣のクラスではプリントが大量に余っていたので、1枚もらい、自分の教室に戻る。その際に、前の扉から入らず、あえて後ろの扉から入ったのだ。
 これは非常に緻密な計算に基づいた行動なのである。
 なぜならば、前の扉からは言ったならば、右端の一番前の生徒にプリントを渡して後ろに回してもらうのが自然になるのだが、後ろから入ることによって直接高橋さんにプリントを渡すというこの愛に満ちた行為が、非常に違和感ない形で行えるようになるのである。
 僕は「もらってきた」と馬鹿のような台詞を口にしてプリントを渡す。そして、高橋さんは「ありがとう」と女神のように地味なお礼を口にして張りぼてのような笑顔でうなずくのであった。
 これが彼女との初めての会話であった。

 さて、その後、僕は何事もなく中学校の卒業式を迎えることになった。あの日以来、結局、高橋さんとは一度も言葉を交わすことはなかった。修学旅行でも、自由行動で僕は偶然班からはぐれてしまい途方に暮れ、しかたなく京都の町中を徘徊している際に、おなじくはぐれてしまった高橋さんと遭遇してなんだかんだあってふたりっきりで京都の町を散策することになる、という妄想に耽ったりもしたけれど、そうはならなかった。ただし、僕が班からはぐれて途方に暮れたところまでは実現したのだから、あながち非現実的な妄想だったというわけでもないのかもしれない。きっと、ほんのちょっと、運が悪かっただけだ。
 それから接点もなく、卒業式だ。
 それでも僕は希望を捨ててはいなかった。卒業式の後というのは、告白のベストタイミングであるということは、これはもう世界の、否、宇宙の常識と言っても過言ではないではないのではなかろうか。
 だから僕は待った。卒業証書を片手に、誰もいない教室に立ち尽くした。クラスメイトたちがみな下校し、各々カラオケなんかにでかける中、僕は教室で、窓枠に背中を預けて、ただ、立っていたのだ。
 そしてドアが開く。
 「あれ、君なにしてんの」
 警備員のおじさんだった。
 僕は後頭部をマッハでかきむしりながら、「あ、いや、えーと忘れ物しちゃって」と言った。
 おじさんは、「そろそろ閉めちゃうよ、鍵」と言って僕が教室から出るのを促した。なんという極悪非道なおじさんだろう。僕と高橋さんの仲を引き裂くために大魔王から派遣されてきた遣い魔に違いないと思った。
 僕は「すみませんもう大丈夫です」と不明瞭な発音で呟いてイソイソと教室を出る。僕がその場を立ち去ろうとしたとき、おじさんは「卒業おめでと」と言った。良い人だった。泣きそうになった。

 あのチョコレートをくれたのは、誰だったのか。なにも明らかにはならなかった。高橋さんかもしれないし、他の女子かもしれないし、男子のいたずらかもしれない。
 答えが出なかったことがかえって良かった、なんて到底思えないけれど、勘違いで恥をかくよりは全然マシなのだと自己暗示のように思い続けることにした。
 それがどんなに心残りであろうと、月日は、時間は、誰にでも平等に流れる。僕は平均的な高校に普通に入り、一般的な高校生活を経て、なんの波乱もなく卒業をして、学力に見合った大学に入り、皆と同じように怠惰に過ごした。
 そして大学生活も終わり、僕は中流企業に入社し、そして今に至る。
 僕は高橋さんの存在を忘れ、日々受動態の出逢いを求めて呼吸をしながら地味に生息していたのだ。
 でも、今、テレビの中で高橋さんは極限状態のピンチに陥ってる。
 高橋さんをそんな目に遭わせているのは、僕と同じ苗字を持つ鈴木君。
 鈴木君はどんな生徒だっただろうか?
 よく思い出せない。僕よりは目立つ少年だったように思う。クラスの不良グループに属しながらも、オタクグループともつきあいがあって、少なくとも僕なんかよりは目立つ存在だったように思う。短気で、すぐに怒鳴り声を上げて小突き回し、クラスの小心な男子を萎縮させるサディスティックな一面があったようにも思う。でもそれだけだ。僕は鈴木君と仲良く話したこともなければ、虐められたりもしていない。
 彼のことは好きではなかった。
 でも、敵意を抱けるほどには、興味もなかったのだ。
 こんなどうでも良い奴に、僕の大切な高橋さんを殺されるのは我慢がならない。
 ちくしょう。
 死ね。
 死んでしまえ。
 これがデスノートだったら、僕は鈴木君の下の名前を知らないので卒業文集を掘り出して調べたうえで、何のためらいもなく名を記してやることだろう。そしてきっと僕は後悔する。人を殺した罪悪感に苛まれる。心が壊れて、自殺でもしてしまうかもしれない。だけど、それでも僕は間違いなくやるだろう。
 さて、これはデスノートではない。ジェノサイドノート。彼だけを殺すことは不可能な、強力にして極めて不便な大量殺人兵器。全国の鈴木さんを巻き添えにして、そして僕も、死ぬ。
 それでも良いかな、と僕は思った。
 僕がかつて恋い焦がれた高橋さんを救うためならば、見ず知らずの鈴木さんたちを巻き込み、その代償に僕が死ぬのも、まあ、ありなんじゃないかな、と思うのだ。
 もちろん、これは許されるはずもないことだろう。
 だけど、それでも。
 ごめんね、全国の鈴木さん。
 僕と一緒に、死んでくれ。
 僕はペンを取った。

 不意にざわめく。

 パン。

 破裂音がした。

 「おやおや、君が絶望している間に出来事は起承転結の転をむかえているようだよ」

 『人間以外』が面白くなさそうにつぶやく。
 僕は画面を見る。なにがあったのだろう。
 まさか、高橋さんが。
 そんな、まさか。

 倒れていたのは、鈴木君だった。
 頭から血を流して、地面に倒れていた。
 高橋さんは、顔を覆ってうずくまっている。
 どうやら、狙撃されたようだ。
 どうやら、射殺されたようだ。
 どうやら、全て終ったようだ。
 僕はペンを放り投げる。
 なんだ、結局そうなんだ。僕なんかの出る幕は、ないということなのだ。こんなに強大な兵器を手に入れたところで、どんなに恐ろしい力を身につけたところで、所詮僕は僕でしかないと言うことなんだ。
 普通で地味で矮小で。
 姑息で小心で無害で。
 どこまでも無個性で。
 だからこれでいい。高橋さんは助かった。鈴木君は死んだ。僕も死なないし、全国の鈴木さんたちも巻き添えを食らうことはなくなった。
 これが最善じゃないか。
 これが僕が望む形での結末じゃないか。
 これがベストエンディングじゃないか。
 でもなんだろうか、この虚無感は。
 自らの命を捨ててまで世界に干渉する覚悟をしたとたんに、こんな落ち着くべき形に落ち着いてしまった、この脱力感は。
 僕は自分の顔を触ってみる。
 ニヤニヤとしただらしのない形に歪んでいた。
 安寧仕切ったさぞかし不細工な笑顔だったことだろう。

 続報で、僕は人質にとられた女性が高橋さんとは全く別人の鈴木さんという保育士さんだったことを知る。
 そして、射殺された籠城犯が、鈴木君でもなんでもない見ず知らずの男だったことも知る。
 もしもあのとき、僕がノートに名前を書いていたら、無駄に僕が死に、鈴木さんたちを殺したあげく、無関係なかつてのクラスメートの鈴木君を殺し、さらにあの保育士さんまで殺していたことになる。
 だから、僕のやろうとしたことは、全てが間違っていたということなのだ。

 「僕は、とんでもないことをやろうとしていたんだな」
 「そうでもないよ」

 こいつは、この『人間以外』は、そんなことを言った。

 「だってだよ。このノート、なんでもないただのノートなんだよ」
 「え」
 「ジェノサイドノートなんて嘘っぱちだよ。そんなものがあるわけないんだよ」
 「何だって」
 「軽いイタズラなんだよ。ドッキリともいうよ」
 「おい、お前」
 「君がノートに『鈴木』と書いたところで、なにも起こりはしなかったんだよ」
 「ふざけるな、殺すぞ」
 「殺されるのはイヤだから僕はこれで退散するよ」
 「おいまて、不法侵入で警察に……」

 『人間以外』は、窓を開けて飛び出した。ここは二階。まあ飛び降りても死にはしないだろうが、でも危険なことにはかわりがない。
 窓の外に身を乗り出してみる。すでに『人間以外』の姿は見えなくなっていた。
 もしかしたら本当に人ならざるものだったのかもしれないな、と思った。そうでも思わないと、自分が哀れでしかたがなかったのかもしれない。
 僕はため息をついて、舌打ちをした。
 窓を閉める。
 少しだけ泣いてみた。

 それからしばらく月日の流れたある夏の日のこと。
 中学時代の同窓会の誘いがきた。
 クラスメート全員に誘いがかかっているらしい。
 もしかしたら高橋さんもくるかもしれない。
 僕はペンととって、行こうか行くまいか逡巡する。
 あの忌々しいノートは机の奥にしまってある。
 憂さ晴らしに適当な苗字を書いてみようかとも考えたけれど、あの『人間以外』の立ち去りかたに、たしかに人間以外の何かを感じないでもなかったので、バカバカしいとは思いつつも、万が一、という恐れが拭いきれなかった。かといって捨てるのも何となく躊躇われたのだ。
 もしかしたら、今後、僕にとって命よりも大切な何かを誰かに壊されそうになったら、その時は名前を書いてみるかもしれない。
 あの『人間以外』にだまされたと、本当に気づくのは、その時まで保留にしておこうと思う。
 カチリとペンの頭を押して、御出席の御を線で消したあと、そこに丸をつけた。
 行ってみることにした。
 まあ、僕のことだ、そこで何がおこるわけでもないのだろうけど、だけど、それでも。
3000文字くらいの短い話にするつもりだったのに、こんなにダラダラ続いてしまったことを心より悔いるこんばんは村川です。
ポメラ買いました。試運転で上の文章書きました。
明日からまた仕事です。
おやすみなさい。
10/01/24 : ギョラン
日ごろの頑張りが認められて給料が2円程あがりましたこんばんは村川です。
これでようやく年収が7兆円を突破しました。
とはいっても殆どうまい棒代に消えてしまうんですけどね。

さて、どこまでが本当でしょう。

1・うまい棒に兆単位の出費をしているところ
2・年収が7兆円を突破したところ
3・昇給額が2円なところ
4・昇給したところ
5・日ごろの頑張りが認められたところ
6・日ごろの頑張っていたところ

「7・職に就いているところ」
「いや、そこはホントですよ。回転ずしのベルトコンベアを動かす仕事。地下室でハムスターみたいに超回るの」
「マジでか」

正解はWebで。
サザエさんに出てくるタイコさんっていますよね。イクラちゃんのママンであるところの。
あのヒトの名前の由来、ずっと明太子だと思ってたんですけど、どうやら鯛らしいと最近知りました。
だってイクラも明太子も魚卵じゃないですか。魚卵繋がりだと思うじゃないですか。
あ、でもアレか。タイコさんが明太子だと、なんとなくタラオの方が目上な感じになっちゃうか。
しかしなぜタラオだけ呼び捨てにしているのだろうか、私は。
10/01/28 : ヴェロ

舌が痛いです。ピリピリします。
これはきっとアレです。
妖怪ベロピリピリ星人の仕業に違いないです。
妖怪なのか異星人なのかはっきりしてほしいですね、まったく。
こんばんは村川です。


腕時計ってやつは腕時計というにはあまりにも手首時計だと思いませんか。


周りの人が次々とiPhoneユーザになっていきます。
私は持っていないのですが、語尾にアイフォンとつけることで、いかにもiPhoneユーザであるかのように振る舞っていこうと思いまアイフォン。


もう1月が終わってしまうのかという気持ちもありつつ、冬休みがはるか遠い昔の出来事のようにも感じる。

10/02/21 : メグ

2年に1回くらい目薬を買いますこんばんは村川です。
目薬って使い切ったことないのですが、もっと小さいサイズのものってないんですかね。
20滴くらいでなくなるようなやつ。


元々記憶力の良い方ではなかったけれど、最近はさらに劣化してきている気がします。
劣化具合を表現するために、具体的な例をあげようと思っても、思い出せないほどに。


人間は一生のうちに平均十五回は足の小指を骨折しているらしいですよ。
でも、通常歩く際に足の小指に負担が掛かることってないから、折れていても分らないんですよ。
さらに、小指の骨は非常にくっつきやすくて、折れたことに気づく前に大抵治ってしまう。
箪笥の角に強打したときとか、実は折れてるのかもしれないですよ。
という話を夢の中で知らないおじさんに教えてもらいました。
たぶんそんな事実はないです。
おじさんはちょび髭を蓄えていました。

10/03/19 : しゃみせんバロット



「疲れました」と言うよりも「もう、疲れました」と言ったほうがよりうんざりした絶望的な雰囲気を醸し出せますよねこんばんは村川です。
醸し出すことでどんなメリットがあるかは人による。


京極夏彦『塗仏の宴』(講談社文庫)読了。

10/04/07 : 主よ人の望みの喜びよ

みなさん、どうやら4月に入っていたみたいですよ。
勘が鋭いことで定評のある私は、このことに昨日気づきました。
とはいえ、それでもまだ半信半疑ですけどね。


先日腰を痛めましたこんばんは村川です。
どういうことだ、まだ20代だぞ。
死ぬほど痛くはありませんでしたが、死にたい程度には痛かったです。
でも敢えて生きる。その心意気。
今はもうだいぶマシになりましたけどね。
痛めたきっかけは、
重いものを持ち上げようとしたわけでも、
車にひかれたわけでも、
地球に接近してきた巨大隕石を受け止めたわけでも、
村で神とあがめられている御神木を切り倒そうとしたバチがあたったわけでもなく、
単にちょっと屈んだ拍子に背筋に変な具合に力が掛かっただけなので、
なんのドラマ性も御座いません。
しょうがないので、今から御神木切り倒してきます。


色々と裏で画策中です。
といっても、悪だくみじゃないよ。
あと、裏と言うほど裏じゃないし。
あと、色々と言うほど色々でもないし。
あと、画策と言うには計画性が乏しいし。
うむ、改めて考えるとまったく正確な情報じゃないですね。
言いなおそう。
「なにかしらやろうとしている可能性が捨てきれない」


伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)読了。
久々のSF。読みやすい。SFの割には登場人物少なめだし。

西尾維新『零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係』(講談社ノベルス)読了。
相変わらず面白かったです。四冊同時って。

10/04/16 : Yggdrasill

定期が切れているのを忘れて使い続けたせいでPASMOのチャージがすげえ減ってたこんばんは村川です。
腰の具合はだいぶ良くなりましたが、屈む時になんかまだ背骨に違和感があって怖いですね。
薄いガラスで覆われてる感じ。これ以上曲げるとパリンといくんじゃないかという。


なんとかというグループのなんとかさんに似てると最近立て続けに2度言われたのだけれど、
そのグループ名も人物名も思い出せないのでどんな風貌の人なのか調べられない。
よくわからないけど、きっとスキンヘッドのヒゲマッチョに違いないぞ。
あ、私別にそんな感じじゃないですよ。


『世界樹の迷宮3』ってゲームを最近始めたんですよ。
1作目のころから周囲では話題になっていて、でも乗り遅れた結果やらなくて、
2作目からやろうと思っていたんだけど、どうやらバグが多いらしいとのことで、手を出さず、
で、今回3作目が出たんで、じゃあやろうと。やってみようかと。
知らない人にどんなゲームか説明すると、ええと、あれです。
集団で樹海を徘徊するゲームです。


西尾維新『零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係』(講談社ノベルス)読了。
西尾維新『零崎人識の人間関係 零崎双識との関係』(講談社ノベルス)読了。

Little Brown Dogさん。
苦労はしませんでしたが、別に賢くもなく、普通に近所の書店で買いましたよ。

10/05/04 : GOGAZ EUOCCA

ゴールデンウィークとか関係なく労働に勤しんでいるこの僕に幸あれ。
まあ、纏まった休みとか貰ったところでロクなことはしないんだけど。
それに休日の人が少ないオフィスの雰囲気は嫌いじゃない。
これで後日代休が貰えるならまったく文句はないのだけれど。
さてさてどうなることか。


世界樹の迷宮3
寝る前に少しずつ進めています。
進行度は30%くらい(根拠ない憶測)。
先日、クジラのバケモノにボコボコにされました。
レベル上げてリベンジしたところ、見ごとに血祭りに上げることに成功。
こんなことしたらシーシェパードが大激怒ですよ。


本のアレ。

西尾維新『零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係』(講談社ノベルス)読了。
高田侑『うなぎ鬼』(角川ホラー文庫)読了。
伊集院光『のはなし にぶんのいち〜イヌの巻〜』(宝島社文庫)読了。
伊集院光『のはなし にぶんのいち〜キジの巻〜』(宝島社文庫)読了。
古谷実『ヒメアノ〜ル 1〜6』(ヤンマガKCスペシャル)読了。


生活に役立つ豆知識。
カマボコと青酸カリは食い合わせが悪い。

10/05/07 : シンサン

煮え湯飲み放題、辛酸舐め放題、砂噛み放題、こんばんは村川です。
ところで辛酸ってなんだろう。ギョーザのタレ的な、そういうやつかな。


少し前に試しにtwitterってのをやってみたんですが、いまひとつ面白さが分らなかったので放置中。
きっとこういうのは友達が多い人がやるものなんだな。
富士山の上で100人の友達とおにぎりを食べるような、そういう社交的なさあ!(僻むんじゃない)。


ウルトラマン。
直訳すると、過激な男性。
なるほど、だから全裸で暴れるのか。ん、でもあの銀色のは皮膚なのか?
まあ、銀色の全身タイツに身を包んでいるとしたら、それはそれで過激かもしれない。


昔、私、穴あき包丁のことをアナーキー包丁だと思ってたんですよ。嘘ですけど。

10/05/21 : 百年憤怒

「私は一応普段温厚に振る舞っているつもりですし、実際に普通以上に温厚なつもりなのですが、それでも腹が立つときは腹が立つし、イラッとして暴れたくなる時もあるわけです。

 でも、その怒りの感情はわき起こった際には外面からは観測できないようにコーティングしていますし、それができているつもりでもありますので、あの人は気が長い、的な評価を受けることがあるわけで、実際は違うんだけどなぁ、心の中ではいろんなドス黒いモノが沸騰して大変なことになってるんだけどなぁと思うのです。

 以前はそういう、墨汁が煮えたぎるような気持ちになるのは、精々年に3回くらいでしたが、最近はヒドイもので、毎月のイベントように定期的に胸の内側がハルマゲドン状態に陥るようになってしまいました。

 それは、私が短気になったということなのかもしれませんが、それを抜きにしても馬鹿と接する機会が多くなったと思います(お、辛辣だな)。
いや、どちらかというと、馬鹿じゃない人と交流することによって、今まで存在していた馬鹿な人の馬鹿さ加減が際立って知覚されるようになったから、といったほうが良いかもしれません。

 別に、頭の回転が遅いとか、知識がないとか、その程度のことで私は他人を馬鹿だとは思いません。そんなものは、どうにだってなりますからね。計算なんてコンピュータに任せりゃいいし、物事を知らなけりゃ逐一辞書なりネットなりで調べりゃ良いだけのことです。そういうことのためにコンピュータはあるわけでしょう。

 でもね、ヒトに迷惑をかけることに躊躇がないヤツは馬鹿だと思うのです。要するに、有害性の問題ですね。

 面倒事があれば他人に押し付ける、揉め事があれば他人を巻き込む、責任を回避したり分散させることばかりに知恵を使うような、そういう卑怯なヤツが身近にいたら、それは不幸なことだと思いませんか。ま、例えばの話ですよ。

 でかい声出さないで下さいよ。そうやって感情むき出しで、恥ずかしくないんですか。まあ、恥ずかしくないからしてるんでしょうね。私だったら恥ずかしいですけど、あなたは私じゃないですもんね。まあ残念ながらそういうことなんですよね。あ、これ私にとって残念なだけで、他意はありませんよ。

 だから声が大きいですって。そんな恋人を載せて遠くの異国へ旅立つ船を見送るような声量じゃなくても、十分聞こえますって。

 私はね、先ほども言ったように自分のことを温厚な人間だと思いますよ。それでいて、極めて暴力的でもあるんです。別に矛盾はしていないでしょう。百年に一度しか怒らなければ温厚な人だし、怒った時に相手をボコボコにしたらそれは暴力的な人ですよね。たぶんそういう類の人間なんだと思いますよ、私は。

 人を殴ったことはありません。蹴ったことなんてもってのほかです。だからといって、今後もそれをしないとは限らないということ。勝手に人の属性を決めつけない方が良いですよ。百年怒らなかった人が百一年目に怒らない保証なんて誰もしてくれませんからね。

 別にね、これ、脅しているわけじゃないんですよ。そういうことじゃないんです。私も腹が立つことがある、というそれだけの話なんです。そういう当たり前の話をしただけなんです。

 青天の霹靂、ということはないでしょう。私はこれまでにもずっと、異を唱えてきました。あなたほど大きな声じゃなかったかもしれませんが、でも確かに伝えてきたはずです。それを無視したのはあなたですし、それを無視したせいで損をしたのもあなたです。いまさら私に当たられても困りますよ。

 私は伝えるべきことは伝えました。それでも伝わっていないのであれば、もう一度頭から伝えなおすか、あるいは諦めるかの二択になります。そして私はもう、頭から伝えなおす決断が下せるほどには根気強くありません。

 これだけ言っても分らないんですね。ということは、もしかしたら私とあなたは同じ言語でのコミュニケーションが不可能なのかもしれませんね。意思の疎通ができないのならば、かみ合わないのも無理はありません。どちらのせいでもありませんし、お互いの責任でもありますね。

 残念ですよ。非常に残念です。

 さよならですね。永遠に」

 生まれてはじめて拳を振るった。渾身の一撃だった。
 ソイツが派手な音を立てて床を転がり、ようやく静かになったところで私は我に返った。
 なんてことをしてしまったのだ。
 しばしの間私は、バラバラになった目覚まし時計を前に、呆然とする。
 寝起きが悪いにもほどがある。

10/06/09 : 本のアレとかソレとかとその他

ここ最近の読了本。

森博嗣『工学部・水柿助教授の逡巡』(幻冬舎文庫)
西尾維新『ダブルダウン勘繰郎 トリプルプレイ助悪郎』(講談社文庫)

年々本を読むペースが遅くなるな。
ここ数年は、主に通勤中の電車の中で読んでいます。
遠距離じゃないので往復で精々20ページ程度しか読めないし、通勤時に必ず読むわけでもない。
昔はなんであんなに集中して読めたんでしょうか。
脳が今ほど劣化していなかったせいかもしれないし、単純にそういう時期だったのかもしれない。
まあ、沢山読めたとしてだからなんなんだ、という話で、燃費的な方向性で考えたら一つの話を長く楽しめた方がローコストである、とも考えられる。
コストとかそういう問題なのか。そういう問題もあるか。ないかな。


先日、2〜3週間くらい前だったか、文学フリマというものに行ってみました。
矢部嵩さんに挨拶をしてみようかと思ったけど、良いタイミングが見つけられず。
多少強引にでも声をかけてみられるような根性はないのです。チキンハート。
ところで、焼き鳥のハツって Hearts からきてるんですかね。たぶんそうでしょうね。
「大体、売り場に当人がいるとも限らないし、
そもそも冷静に考えてみれば、村川さんの来訪って別にありがたくないぞ、
いきなり声を掛けられてお互いアンニュイな感じになってもアレだしなぁ」
という流れの思考を経たうえでの戦略的撤退なのでした。
その割にはブースの周りをウロウロしていたけれど、これはまあ書かなきゃバレないことだし(じゃあ書くんじゃない)。
帰りの電車で『健康都市』という小説を読みました。
太郎さんがいっぱいいました。太郎さんが健康であれば良いと思いました。

10/06/27 : エスとかエムとかその他


ここ最近の読了本。

円城塔『Self-Reference ENGINE』(ハヤカワ文庫JA)
北野勇作『メイド・ロード・リロード』(メディアワークス文庫)




超級瑪俐歐銀河とかいてスーパーマリオギャラクシーか。




サイズを表す S/M/L はエから始りウ段の音で終わるせいで、聞き分け辛すぎるわけで、
ここを正確に、スモール/ミディアム/ラージと言い換えると確かに伝わりやすいけれど、
店舗によってSは「スモール」じゃなくて「ショート」のSだったりして、
さらにMも「ミディアム」だったり「ミドル」だったり、
Lも「ラージ」だったり「ロング」だったりするもんだからもうね、
「ショート」の呼称を採用しているところで「スモール」と言ったりして、
店員にしたり顔で「ショートですね」と言いなおされたりして、
「畜生、どっちでもいいじゃねえか! 意味通じるだろ!」的な憤慨に襲われて、
「こんな屈辱を味わうくらいなら、もうお外には出ないで一生引きこもって暮らしていくんだ」みたいな結論に達するので、
サイズの呼称はすべての飲食店で厳格に統一していくことが現在の日本国における最大のテーマであると言わざるを得ないのですよ、奥さん。


10/07/20 : うま


「うま煮」という名称にはそこはかとないおこがましさというかビッグマウス感というかそんな印象を受けてしまうわけです。
お笑い芸人が自らに「おもしろマン」などという芸名をつけてしまうような感じというか、自分発信で「美人過ぎる○○」を定着させようとしている感じというか、「私の戦闘力は53万です」と言って得意げになるフリーザ様の感じというか、「僕は新世界の神になる」と決め顔で宣言しちゃう若気の至りっぽい感じというか、自称ハイパーメディアクリエイターというか、ウルトラバロックデプログラマーというか、ポストトラウマティックストレスディスオーダーというか、マサチューセッツインスティチュートオブテクノロジーというか、どんどんかけ離れていくのでなんかもう取り返しがつきませんけれども、要するに、謙虚さが足りないのではなかろうか、と。
実際にはおそらく、この「うま煮」の「うま」はきっと、美味という意味ではなくて、何か他の由来があるのではないかと踏んではいるのですが、情報ソースが皆無なため、なんとも言うことができません。
でもまあ、身も蓋もない言い方をすると、わざわざ調べるほど知りたいわけでもないし。
誤解を解くために一肌脱ぐほど「うま煮」と親しい関係なわけでもないし。
「ゴールデンデリシャス」に比べたらまだ言い訳の余地がありそうだし。
だいたいそんな感じですこんばんは村川です。

もしかして小学生中学生はもうすでに夏休みだったりするんでしょうか。
地域にもよるのかもしれませんが、だいたい海の日の前後あたりから開始ですよね。
私は中学生くらいのころは非常に勤勉な生徒でした。
夏休みの宿題を、いかにして有耶無耶にするか、ということに全力を注いでいましたよ。
努力を回避することにかけては、努力を惜しまない子供でしたから。
高校生くらいになってから、そんな努力をするくらいならマトモにやった方がまだ楽なんじゃないかと思い至って、努力を回避する努力を惜しむような怠惰な生徒になってしまいました。
あのまま育っていれば、ニート会の革命児になれていたのかもしれないのに。
こうして人の才能は潰れていくのです。
心から思います。潰れてよかったと。



10/10/02 : キューキュー


ちょっと前の話なのですが、某駅前を歩いていたのですよ。



アホ面で。



いや、アホ面は言い過ぎ。
そこまでアホっぽくはなかった。
理知的とも言い難いけど。
まあ普通のニュートラルな感じに、やや愚鈍成分をパラパラ振りかけたような隠し味程度のうっすらとしたアホ面ね。


結局アホ面じゃないか。



ん、そうね、最終的にはね。
いや、私の顔つきは本題とは全く関係ないんだけどね。
歩いていたわけですよ、駅前を。
前の方に女の人が立っていましてね。
「ああ、女の人が立ってるなぁ、両足を地面に突き立てて重力に逆らっているなぁ」と。



思うか、そんなこと。



そしたら、急に倒れたんですよ、その人が、私の目の前で。
こう、バタンと。
膝から崩れる感じじゃなく、前のめりに顔から突っ込むようにして。


貧血みたいな?



うお倒れた、と。
お医者様はいらっしゃいませんか、みたいな感じで周り見回してみたけど、生憎、白衣来て聴診器つけた人は見当たらないのね。



あ、そういうのいいですから。



でまあ、「大丈夫ですか」と。
声をかけてみたのですよ。
ナンパと間違われたら嫌だなぁなんて頭の片隅で考えていたかもしれないし、それどころじゃなかったかもしれない。



寄り道の多い思考だなぁ。



でまあ、その呼びかけは無視されまして。
おや、鹿十と書いてシカトですか、と。



いや向こうもそれどころじゃないんだろうさ。



そしたら女の人、気絶したわけじゃないらしく、上体起こして鞄の中ゴソゴソ。
虚ろな目で携帯電話いじりだしたわけですよ。
で、もう一度、「あの、大丈夫ですか」と。
食い下がってみたわけです。



うん、食い下がりなさい、食い下がりなさい。



無視されまして。
シカトとは花札の十月を表す札に描かれた鹿がそっぽ向いていることが由来という説があります。



その豆知識、今必要?



あ、念のため、この話、最終的には女の人一応大丈夫ってことになりますから。
悲惨な結末の話をこうやって茶化してるわけじゃないんだからね。



急に自己フォローが入ったな。
不安になったんだね。



重力に逆らってとか、ナンパとか、シカトの豆知識のくだりとかも、その時に思ったわけじゃなくて後付けなんだからね。



そこまで真っ当な解説はむしろウザいよね。



電話掛けようとしてんだかメール打ってるんだか、携帯操る指も覚束なくて。
傍らに立って心配そうに立ってる男の人がいて、といってもその人も女の人の知り合いというわけでもなさそうで。
救急車呼ぼうか呼ぶまいか逡巡してるっぽくて。



ま、呼んだ方が良さそうだよね。
万が一の場合もあるしね。



「今、救急車を」と言ったら初めて女の人からリアクションらしいリアクションが返ってきまして。
首をフルフル横に振って。
拒否されまして。



倒れた側は大ごとにしたくない、という意識が働くかもしれないね、そういう場合。



しかしそうは言ってもなぁ、なんか物凄い尋常じゃないくらい汗かいてるし。
プルプル震えてるし、顔色もヤバイし。
そうこうしている内に、女の人が携帯で通話始めまして。
「今**駅の前だから来て。早く来て。いいから早く。大丈夫じゃない。大丈夫じゃないから電話してんでしょおおおおお! ひゃああああああああ! きょああああああ!」と。



絶叫したと。



私、その人と視線合わせるようにして、一緒にしゃがんでいたんですが。
急に大きな奇声をお上げになられましたもので、わたくし、少々ビビりまして。
思わず立ちあがって後ずさってしまいまして。



お、ダセぇ。



正直、薬物系のそういったアレを彷彿させられる反応でして、いや事実はまったく不確定ですけども。
傍らにいた男性に、「やっぱり呼んだ方が良さそうですかね、救急車」と提案してみました。
男性も頷いて、救急に電話掛けて、状況を説明中にその女性の知り合いと思しきメガネのお兄さんが現れまして。



意外と素早く到着したな。
電話受けてから数分?



女性は立ちあがってややふらつきながらも割とアッサリそっち行っちゃうし。
しょうがないので救急車はキャンセルして。
うん、まあ、よく分らないけど、その人に任せとけば良いのかなと思って。
メガネのお兄さんに、「すみません、お騒がせしました。ありがとうございます」と礼を言われて。
「いえ、その、大丈夫なんですか」「大丈夫です」という会話を最後に、二人はどこかへ行ってしまいました。



ふうん。
よく分らない幕切れだね。
君に任せておくよりは良いんだろうけどね。



結果からみれば、私はいてもいなくてもどっちでも良かったわけですな。
はは。



そして、軽く自嘲的な笑みを浮かべたアホ面を晒してその場を立ち去ったと。



人助けは難しいね。


10/11/28 : ローリングソバットをパスタ的な何かだと思い込んでみるキャンペーン

ここ数カ月で読了した本を思いだせる限り列挙してみよう。

佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』(新潮文庫)
村上龍『昭和歌謡大全集』(集英社文庫)
伊坂幸太郎『終末のフール』(集英社文庫)
藤ダリオ『出口なし』(角川ホラー文庫)
米澤穂信『インシテミル』(文春文庫)
越前魔太郎『魔界探偵 冥王星O ヴァイオリンのV』(講談社ノベルス)
越前魔太郎『魔界探偵 冥王星O ウォーキングのW』(電撃文庫)
越前魔太郎『魔界探偵 冥王星O ホーマーのH』(講談社ノベルス)
舞城王太郎『NECK』(講談社文庫)
西尾維新『猫物語(黒)』(講談社BOX)
越前魔太郎『魔界探偵 冥王星O ペインのP』(メディアワークス文庫)
越前魔太郎『魔界探偵 冥王星O ジャンクションのJ』(講談社ノベルス)
越前魔太郎『魔界探偵 冥王星O トイボックスのT』(メディアワークス文庫)
小林泰三『人造救世主』(角川ホラー文庫)
越前魔太郎/舞城王太郎『魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD』(講談社ノベルス)
新城カズマ『15×24 (1〜6)』(集英社スーパーダッシュ文庫)
西尾維新『猫物語(白)』(講談社BOX)

もっとなんか読んだ気もするけれど、パッと出てくるのはこんなものかな。
一応読んだ順に挙げたつもりだけど、おそらく間違っていると思います。
数年前は、一冊読了するたびに記録とってたんだけど、最近やってないから思い出すのに一苦労です。


たまに自宅でプログラム書くことがあるんだけど、一度中断すると中々モチベーションが取り戻せない。
仕事じゃないから、好きな時に好きなように進めればいい、という状況がそうさせるのだと思う。
ハードディスクを探ると、作りかけのアプリが結構見つかる。
昔の自分の書いたソースコードを見ていると、なんとも言えない恥ずかしい気持ちになる。
なんでこんなワケノワカラナイ処理をしているのか、無駄に複雑にしていやがる、これじゃ管理が大変じゃないか、馬鹿じゃないのかこいつは、と。
ポジティブにとらえると、その当時の自分よりも成長しているということになる、かもしれない。
おそらく、今の私の書いたコードも、数年後に見たら眼を覆いたくなるようなものになっているかもしれない。
そうなるべきだという思いと、そんな恥ずかしい思いをしたくないという思いが6:4くらいでせめぎ合っている。